ロマンティック数学ナイト

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解析力学入門~現代物理学の基礎を学ぶ~

11時開演

解析力学入門~現代物理学の基礎を学ぶ~

オンライン(zoom)

10:50

11:00

・ガイダンス回 無料
・本セミナー 65,500円
※早期割引あり

Coming Soon


∞解析力学について∞

古典力学というと、ニュートン力学だけを想定されるかもしれませんが、18世紀から19世紀に活躍したフランスの天才数学者ラグランジュは、力のベクトル(図形的な考え方)を意識することなく、数学的に洗練されたアプローチで力学の問題を扱う手法を発明しました。ニュートン力学は力がベクトルで表現されているために、力の成分を図示して成分ごとに運動方程式を作る必要がありました。ラグランジュの手法によれば、もはや、力を図示することなく、ラグランジアンというスカラー量から機械的にニュートンの運動方程式と同様な式を導出することができます。ラグランジュの手法を「解析力学」と呼んでいます。この手法はオイラーが研究した変分法と呼ばれる数学の解析的な方法を用いて運動方程式を導くので、この方程式をオイラー・ラグランジュ方程式と呼んでいます。ラグランジアンさえ求めれば、ニュートンの運動方程式から求められる方程式を解析力学によって、エレガントに、数学的に単純な手続きによって、容易に求めることができます。おまけに、デカルト座標から極座標変換すると、ニュートンの運動方程式は非慣性力という見かけの力が現われて、運動方程式が複雑になりますが、オイラー・ラグランジュ方程式は座標変換において、共変(方程式の形が変わらないこと)なので、座標変換しても、オイラー・ラグランジュ方程式は座標変換を何ら意識することなく、そのまま使うことができます。このような形式の解析力学をラグランジュ形式(ラグランジュ系)と呼びます。その後、ラグランジュ同様、偉大なる数学者ハミルトンによってハミルトニアンというスカラー量からハミルトン方程式(正準方程式)によって運動を解く方法もあることが数学的に示されました。このような解析力学をハミルトン形式(ハミルトン系)と呼んでいます。扱う力学系によって、最適な形式を選ぶことができます。

解析力学は古典力学だけに留まらず、ほぼ全ての物理理論において威力を発揮します。特に量子力学や統計力学において、解析力学は重要です。なぜなら、それらは歴史的に解析力学を通して発展してきたからです。また、現代物理学において、解析力学なしには理論を構築できません。素粒子物理学のような高度な物理理論においても解析力学を用いた理論が用いられているので、「標準理論」のゲージ場理論や「超弦理論」と呼ばれる素粒子物理学の最先端理論を学ぶためには解析力学に習熟している必要があります。

さらにはカオスというような非線形物理学においても、解析力学の力学系という概念が役に立ちます。微分方程式の解の時間発展的挙動は力学系に依るので、現在では力学系の研究は数学の微分方程式の研究の一分野となっています。解析力学は力学に限らず現代物理学と様々な現代数学のトピックとが交差する興味深い学問です。

∞セミナーの目的と概要∞

解析力学はこのように便利で魅力的な学問ではあるのですが、物理量や空間を数学的に抽象化するために、初学者には難解な面があることも否定できません。そのために、数式の展開をしても、全く物理的な実感を伴わないために、何をやっているのか、さっぱりわからなくなることになります。理工系の学部学生のほとんどは、単位を取るための試験問題の解法を覚えるのが精一杯で、その意義や有用性、素晴らしさを理解せずに卒業しているというのが現状ではないでしょうか。

このゼミではそのような難解さを極力軽減して、何のためにそのような定義、数学展開をするのかをできる限り、丁寧に説明し、理論的に理解できるようになることを目指します。数学理論的な性格が強いので、数式や証明も多くなります。そのため、導出式の展開も丁寧にフォローしていきます。その上で、導出された方程式を主に古典力学の具体的な問題に適用する例題、演習を通して、有用性や便利さが理解できるようになるでしょう。時間的制約があることや参加者に求める知識の要件を必要最小限として敷居を下げるために、扱う内容は重要で基本的なものに限定します。ただし、使用するテキストでは触れていない、少しアドバンスなトピックでも紹介する価値があるものは紹介していきます。例えば、ネーターの数学定理を用いて、ラグランジアンの対称性から様々な力学の保存則が導かれることを紹介します。これは数学的な対称性と不変量が関連していることが物理法則にも反映されているという、明確な証拠です。これは真に驚くべきことではないでしょうか?

また、解析力学を学ぶことによって、量子力学や統計力学のような現代物理学を学ぶ準備となります。余裕があれば、量子力学や統計力学の話題にも少しだけ触れるかもしれませんが、未定です。

∞セミナーの形式∞

基本的にはテキストに沿って読み進めていきますが、必ずしもテキスト通りではなく、面白さ、参加者の知識、ニーズを考慮して、内容の再構成、テキスト外の面白そうなトピックも適宜組込む予定です。能動的な参加を期待していますので、時には参加者による解説と全員でのディスカッションの時間を設けます。宿題形式にて演習もあります。全10回という時間制約があるため、適宜テキストの一部をスキップすることもあります。テキストの完読よりも、楽しむことや理解を深めていくことを重視します。また、予定内容が変更される場合があります。

∞使用テキスト∞

(1)「工科系のための解析力学」(河辺哲次) 裳華房  
メインテキストとして使用します。

(2)「スタンフォード力学」(レナード・サスキンド) 日経BP社 
高校数学の復習から始めてニュートン力学→解析力学へと進みます。サブテキストと
して使用します。(スタンフォード大学での一般公開授業をテキスト化したもの)

参考図書:「考える力学」(兵頭俊夫) 学術図書出版社

∞セミナーで扱う内容(予定、順不同)∞
1.ニュートン力学
2.解析力学の歴史と概要
3.最小作用の原理と変分法
4.オイラー・ラグランジュ方程式
5.座標変換と共変性
6.拘束力のある場合のオイラー・ラグランジュ方程式
7.ラグランジュの未定乗数法
8.ラグランジアンの対称性と保存則
9.群論における対称性と不変量
10.ネーターの定理
11.ハミルトンの正準方程式
12.位相空間とトラジェクトリ
13.正準変換とルジャンドル変換
14.ポアソン括弧
15.リウヴィルの定理

オプション:ハミルトン・ヤコビの方程式、量子力学と解析力学、相対論と解析力学、
解析力学と微分方程式、力学系とカオス、他面白そうな話題など(参加者の
知識、進度によって検討します)

∞対象参加者∞
想定知識としては、高校物理(力学)、理系高校数学を履修していること(うろ覚でも可)、大学教養レベルの物理、数学(線形代数の初歩、微積、特に偏微分)を履修していれば尚可、そうでなくても、数式を見てもたじろがず、完全には理解できなくても、概要がわかれば良いという意欲的な方も歓迎します。能動的に一緒に考え、一緒にワクワクして楽しむことのできる方の参加を特に希望します。毎回の出席は必須としませんが、ビデオ受講のみの方はご遠慮ください。

∞講師∞

石山 浩一 (いしやま こういち)

高校時代、アインシュタインや量子力学に関するブルーバックスを読んで、工学部志望から理学部物理学科に進路変更。大学学部、大学院では地球物理学、素粒子物理学、物性科学を専攻。半導体研究の傍ら、高校受験や大学受験の塾講師として長年、受験指導を経験。

現在は「和から」講師として、大学生、社会人(趣味の方、エンジニア、研究者)の方に物理学の魅力を伝えることに生きがいを感じている。一人でも多くの方に量子力学や相対論の魅力を伝えたいと奮闘中。物理学の知識のない方を力学から量子力学まで指導した結果、現在では量子コンピュータの開発リーダーとして活躍されている方を輩出したことで、教育者としての醍醐味を味わった。

「この世界の真実は人間の常識とはかけ離れている」ことを、物理学を通して、多くの方に伝えたい。そのことで、人生観が変わっていく人を育てたいと夢見ている。

∞開催場所

オンライン(zoom)

※好きな場所でご受講できます。「zoom」を用いてオンラインでセミナーを行います。
※ブラウザが利用できるPCやタブレットなどの環境をご用意ください。
※iPad等タブレットの使用は一部機能が制限される場合がございます。パソコン端末でのご参加を推奨いたします。

∞開催日時

第0回2022年4月23日(土) 11時00分~12時30分(ガイダンス回・無料)
第1回 5月7日(土) 10時00分~12時30分
第2回 5月21日(土) 10時00分~12時30分
第3回 6月4日(土) 10時00分~12時30分
第4回 6月18日(土) 10時00分~12時30分
第5回 7月2日(土) 10時00分~12時30分
第6回 7月16日(土) 10時00分~12時30分
第7回 7月30日(土) 10時00分~12時30分
第8回 8月13日(土) 10時00分~12時30分
第9回 8月27日(土) 10時00分~12時30分
第10回 9月10日(土) 10時00分~12時30分

※4月23日の第0回は5月7日開講の本セミナーのガイダンス回となります。
※第0回に参加しなくても第1回目以降は申し込むことは可能です。
※タイトルはあくまで予定のものであり、受講生の理解度やご要望によって変更の可能性がありますのでご注意ください。
※セミナー時間150分の内、30分は受講生からの質問、議論に充てられるように設計しています。
※各セミナーの録画をゼミ最終回の6か月後まで視聴できるようにしますので、欠席の回があっても問題ありません。

∞料金とお申し込みに関して∞

・ガイダンス回(4月23日)  無料
⇒お申込み(peatix)
・本セミナー(全10回)  65,500円(早期割引:62,500円)
⇒お申込み(googleフォーム)

※セミナーの性格上本セミナーの定員は8名とさせていただきます。
※ガイダンス回翌日18:00時点での申込数が定員を超えている場合は、抽選にて参加者を決定させていただきます。予めご了承ください。
※本セミナーお申し込みの方に振込先の口座をご連絡いたします。
※最小履行人数は4名となります。最小履行人数に満たない場合、非開催となり、料金は返金させていただきます。開催有無は第一回ゼミの1週間前に確定となります。
※早期割引はガイダンス回翌日までに全回お申し込みの適用いたします。
※日程、時間の都合でガイダンス回に参加できない方は、担当の松中(メール:romanticmathnight@wakara.co.jp)までご連絡ください。ガイダンス回当日中に録画した動画を視聴できるように手配いたします。ただし、早期割引が適用されるのはガイダンス回の翌日までとなりますので、予めご了承ください。

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∞本セミナー受講希望者の方向けの注意事項

・通信トラブル等が発生した時に、講師、受講生で円滑に連絡を取り合えるようLINEグループを作成します。LINEグループへの参加は必須とさせていただきますので、予めご了承ください。
・オンラインセミナー受講の際に必要となるパソコン、タブレットまたはスマホ等の通信機器、およびWiFi等のインターネット接続サービスは受講生ご自身でご準備いただきます。
・Apple Pencilなどのスタイラスペンやペンタブなど、画面にペンによる書き込み、描画を行える環境をご準備いただくことを推奨いたします。
・各セミナーの録画動画を最終回の一か月後まで視聴できるようにしますので、出席できない回は動画での受講が可能です。
・欠席者には録画動画だけでなく、セミナーで使用する配布資料(pdfファイルやurl等)も出席者同様配布いたします。

∞ロマ数トレランとは∞

「時間はかかってもいいから数学の美しさを中身からしっかり理解したい!」
聞いているだけでわくわくする華やかなテーマが満載のロマンティック数学ゼミ。
その根底となる理論からしっかり学びたい。ロマ数トレランはそんな声から生まれました。

ロマ数トレランは、ロマン溢れる数学を語ることができる講師による、講義形式ではなく、双方向の対話に重きをおいた受講者参加型の少人数制ゼミです。
実際に手を動かしたり、しっかりと質問、議論をする時間を設けることで
内容を確実に理解することを目標とします。同じ気持ちをもった仲間と一緒に学んだ先には新しい数学の世界が待っています。

~トレランとは~
山を縦走する山岳レースを意味するトレイルランニングの略です。
急坂は大変な時はありますが、いったん頂上に上がれば壮大な風景を楽しむことができます。
数学も同じです!平坦な道も、下り坂も、そして時にはハードな時もありますが、頑張って登りきれば素晴らしい風景が広がっているのです!

※ロマ数トレランでは受講生の理解に合わせて講師が適切な速度になるよう誘導しますが、受講者の理解を優先するため、カリキュラムの進度は確約いたしかねますので、予めご了承ください。
※質問の内容がセミナーの趣旨とそれる場合や、セミナーの適切な進行の妨げになると講師が判断した場合には、解説はセミナー内ではなく別途個別指導をご受講いただくようご案内することがあります。
※ロマ数トレランにはビデオ視聴以外に欠席保証はございません。ビデオは出席の有無に関わらずご視聴いただけます。

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∞企画運営∞

和から株式会社
渋谷(本社)・新橋・大阪にて社会人向けの数学個別指導教室「大人のための数学教室 和(なごみ)」や「大人のための統計教室和」を運営。数学が苦手な大人から 数学の業務・研究応用を 目的としているマーケター、経営者、大学教授まで様々な分野で活躍する社会人に対して必要な数学や統計学の授業を日々提供している。企業におけるデータセンス研修やデータ分析研修も実施。
和から株式会社HPはこちら>>

∞お問い合わせ∞
和から株式会社  松中宏樹
MAIL:class@wakara.co.jp

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