ロマンティック数学ナイト

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【ロマ数トレラン】類体論入門セミナー(イデアル編)

14時開演

【ロマ数トレラン】類体論入門セミナー(イデアル編)

オンライン(zoom)

13:50

14:00

・ガイダンス回 無料
・本セミナー 78,000円
※早期割引あり

木内敬


∞類体論入門セミナー概要∞

類体論は、日本が誇る数学者・高木貞治が、今から約100年前の1920年に発表した理論であり、多くの数学者によって、最も美しい理論の一つと言われています。本セミナーでは、類体論のステートメントを理解し、この美しい理論の一端に触れることを目標とします。

類体論は、フェルマー・オイラー・ガウスによって発展した整数論の一分野であり「素数の性質」に関する理論です。ここでは、フェルマーによって発見された最も簡単な場合における類体論を説明しましょう。フェルマーは、次のような定理を発見しました。

\(p\)を\(2\)以外の素数(奇素数)とするとき,
「\(p \equiv 1 \mod 4\)」 \(\Leftrightarrow\) 「\(p=n^2+m^2\)(\(n,m\)は整数)と表すことができる」

つまり、\(2\)でない素数\(p\)が\(n^2+m^2\) (\(n\),\(m\)は整数)の形で表されるのは、\(p\)が\(4\)で割って\(1\)余る場合であり、かつ、その場合に限るというものです。

\(p=n^2+m^2\)と表されるとき、右辺は、\(p=(n+mi)(n-mi)\)と分解できます。(ここで、\(i\)は虚数単位です。)この右辺の\((n+mi)\)と\((n-mi)\)はガウス整数です。つまり、素数\(p\)がガウス整数の範囲で分解できていることを意味しています。そして、実は、このとき、\((n+mi)\)と\((n-mi)\)はガウス整数における“素元(素数のようなもの)“であることが分かります。

つまりフェルマーが発見したことは、素数\(p\)が\(4\)で割って\(1\)余るとき、\(p\)はガウス整数の範囲ではもはや素数ではなくさらに素因数分解でき、素数\(p\)が\(4\)で割って\(3\)余るとき、\(p\)はガウス整数の範囲でもこれ以上分解できない、つまり素数である、ということだったのです。(これらは、直ちに導かれるわけではないものの、ガウス整数の性質から比較的簡単に分かります。)
つまり、フェルマーの定理は、素数がガウス整数の範囲でも素数のままなのか、それとも、ガウス整数の範囲では別の”素数“によって分解されてしまい素数ではなくなってしまうのか、その条件が\(4\)で割った余りを見れば分かる、ということを意味していたのです。

(フェルマーの定理の言い換え)
\(p\)を\(2\)以外の素数(奇素数)とするとき,
「\(p \equiv 1 \mod 4\)」 \(\Leftrightarrow\) 「\(p\)はガウス整数では素数でなく、\(p=(n+mi)(n-mi)\)と分解できる」
「\(p \equiv 3 \mod 4\)」 \(\Leftrightarrow\) 「\(p\)はガウス整数でも素数であり、これ以上分解できない」

このように言い換えることにより、この定理が「素数の性質」を表したものであることが理解できると思います。このように、素数は、大きな整数環では素数のままであることもありますが、もはや素数ではなくなり、さらに分解できることもあるのです。類体論とは、整数環がある条件を満たすとき(具体的には、―アーベル拡大体の整数環となっているとき―)、素数が分解できる条件を、ガロア群とアルティン写像というものを使い記述するものです。フェルマーがそのように考えていたわけではありませんが、後の歴史を考えると、フェルマーがこの定理を発見した瞬間が、人類が初めて類体論の一端に触れた瞬間でした。

∞本セミナーの目標∞

類体論は、代数体で考えるか局所体で考えるかにより、大域類体論と局所類体論に分けることができます。そして、大域類体論は、イデアルにより記述する方法と、イデールにより記述する方法があります。本セミナーでは、最もイメージが付きやすいイデアルによる大域類体論を学びます。

本セミナーの第一目標は、イデアルによる大域類体論のステートメントを理解することにあります。類体論の証明は、高木貞治による証明以降、簡易化が進んだとはいえ様々な道具が必要であり複雑で長いです。本セミナーでは、証明については、重要定理を含めほとんど触れる時間はありません。また、類体論のステートメントに出てくる用語については、セミナーにおいても定義を確認するものの十分な時間が取れない可能性がありますので、初等整数論やガロア論の基礎については、ある程度、勉強しておくことをお勧めします。

∞使用テキスト∞
本ゼミ本セミナーでは、下記のテキストを使いますが、最初から読んでいく形式でなく、類体論の理解に必要な重要な定義・定理のみ触れる予定です。また、証明は、ほとんど触れることはできない可能性があります。

数論序説(小野孝著) 第2章までの一部
” target=”_blank”>類体論講義(足立恒雄著) 第I部第1章、第3章の一部

∞セミナーの形式∞
セミナー形式は、大学の数学科で行われている双方向での対話を重視した「セミナー」に近い形式にする予定です。基本的には講師が発表しますが、分からないところや理解があいまいなところは途中でとめもらって構いません。

∞講師∞
木内 敬 (きうち たかし)

koushi_kiuchi_01

京都大学理学部数学科卒業、京都大学大学院理学研究科数学専攻 博士課程 単位認定退学
弁護士を業とする傍ら、大人のための数学教室和からで数学講師を行う。専門は整数論。
やわらか数学ゼミ「素数の世界―世紀の難問『リーマン予想』とは」(2016年)の講師。

著書:「ビジュアル リーマン予想入門~グラフで解き明かす素数とゼータ関数の関係~」(技術評論社、2020年7月)

∞前提となる知識∞
※基本的な定義と定理は前提となります。

・集合論の基礎(同値類)
・群論の基礎(群、正規部分群、準同型定理など)
・可換環論の基礎(可換環、イデアル、準同型定理など)

∞知っておいた方がスムーズな理解が可能となる知識∞
※基本的な定義、定理についてはゼミ中で触れますが、本来であればそれぞれの項目ごとに基本書がある分野ですので、ある程度、知っている方がスムーズな理解が可能となります。

・初等整数論(剰余環、剰余環の乗法群、中国剰余定理、平方剰余の相互法則)
・代数的整数論の初歩(代数体、整数環、イデアル、イデアル論の基本定理)
・ガロア理論の初歩(ガロア群、ガロア対応の基本)

∞こんな人におすすめ∞

・類体論の意味や美しさを理解したい方
・平方剰余の相互法則の一般化を知りたい方
・初等整数論や代数的整数論を勉強したことがある方
・虚数乗法、クローネッカーの青春の夢に興味のある方

∞開催場所

オンライン(zoom)

※好きな場所でご受講できます。「zoom」を用いてオンラインでセミナーを行います。
※ブラウザが利用できるPCやタブレットなどの環境をご用意ください。
※iPad等タブレットの使用は一部機能が制限される場合がございます。パソコン端末でのご参加を推奨いたします。

∞開催日時

第0回2022年3月27日(日) 14時00分~15時30分(ガイダンス回・無料)
第1回 4月10日(日)14時00分~17時00分 初等整数論(原始根定理、平方剰余の相互法則)
第2回 4月24日(日)14時00分~17時00分 代数的整数論(代数体、整数環、判別式)
第3回 5月8日(日)14時00分~17時00分 代数的整数論(イデアル、イデアル論の基本定理、ガロア理論)
第4回 5月22日(日)14時00分~17時00分 代数的整数論(有限体、ヒルベルトの理論)
第5回 6月5日(日)14時00分~17時00分 代数的整数論(ヒルベルトの理論)
第6回 6月19日(日)14時00分~17時00分 代数的整数論(アルティン写像)
第7回 7月3日(日)14時00分~17時00分 類体論入門(合同式の概念の拡張)
第8回 7月17日(日)14時00分~17時00分 類体論入門(類体の定義、一般相互法則)
第9回 7月31日(日)14時00分~17時00分 類体論入門(解析的考察、基本不等式の証明)
第10回 8月21日(日)14時00分~17時00分 類体論入門(チェボタリョーフの密度定理、単項化定理)

※3月27日の第0回は4月10日開講の本セミナーのガイダンス回となります。
※第0回に参加しなくても第1回目以降は申し込むことは可能です。
※タイトルはあくまで予定のものであり、受講生の理解度やご要望によって変更の可能性がありますのでご注意ください。
※セミナー時間180分の内、30分は受講生からの質問、議論に充てられるように設計しています。
※基本的に2週間間隔ですが、最終回の第10回のみ3週間後になります。

∞料金とお申し込みに関して∞

・ガイダンス回(3月27日)  無料
⇒お申込み(peatix)
・本セミナー(全10回)  78,000円(早期割引:75,000円)
⇒お申込み(googleフォーム)

※セミナーの性格上本セミナーの定員は8名とさせていただきます。
※ガイダンス回翌日18:00時点での申込数が定員を超えている場合は、抽選にて参加者を決定させていただきます。予めご了承ください。
※本セミナーお申し込みの方に振込先の口座をご連絡いたします。
※最小履行人数は4名となります。最小履行人数に満たない場合、非開催となり、料金は返金させていただきます。開催有無は第一回ゼミの1週間前である4月3日に確定となります。
※早期割引はガイダンス回翌日18:00までに全回お申し込みの適用いたします。
※日程、時間の都合でガイダンス回に参加できない方は、担当の松中(メール:romanticmathnight@wakara.co.jp)までご連絡ください。ガイダンス回当日中に録画した動画を視聴できるように手配いたします。ただし、早期割引が適用されるのはガイダンス回の翌日までとなりますので、予めご了承ください。

∞本セミナー受講希望者の方向けの注意事項∞

・通信トラブル等が発生した時に、講師、受講生で円滑に連絡を取り合えるようLINEグループを作成します。LINEグループへの参加は必須とさせていただきますので、予めご了承ください。
・オンラインセミナー受講の際に必要となるパソコン、タブレットまたはスマホ等の通信機器、およびWiFi等のインターネット接続サービスは受講生ご自身でご準備いただきます。
・Apple Pencilなどのスタイラスペンやペンタブなど、画面にペンによる書き込み、描画を行える環境をご準備いただくことを推奨いたします。
・各セミナーの録画動画を最終回の1か月後まで視聴できるようにしますので、出席できない回は動画での受講が可能です。
・欠席者には録画動画だけでなく、セミナーで使用する配布資料(pdfファイルやurl等)も出席者同様配布いたします。

∞ロマ数トレランとは∞

「時間はかかってもいいから数学の美しさを中身からしっかり理解したい!」
聞いているだけでわくわくする華やかなテーマが満載のロマンティック数学ゼミ。
その根底となる理論からしっかり学びたい。ロマ数トレランはそんな声から生まれました。

ロマ数トレランは、ロマン溢れる数学を語ることができる講師による、講義形式ではなく、双方向の対話に重きをおいた受講者参加型の少人数制ゼミです。
実際に手を動かしたり、しっかりと質問、議論をする時間を設けることで
内容を確実に理解することを目標とします。同じ気持ちをもった仲間と一緒に学んだ先には新しい数学の世界が待っています。

~トレランとは~
山を縦走する山岳レースを意味するトレイルランニングの略です。
急坂は大変な時はありますが、いったん頂上に上がれば壮大な風景を楽しむことができます。
数学も同じです!平坦な道も、下り坂も、そして時にはハードな時もありますが、頑張って登りきれば素晴らしい風景が広がっているのです!

※ロマ数トレランでは受講生の理解に合わせて講師が適切な速度になるよう誘導しますが、受講者の理解を優先するため、カリキュラムの進度は確約いたしかねますので、予めご了承ください。
※質問の内容がセミナーの趣旨とそれる場合や、セミナーの適切な進行の妨げになると講師が判断した場合には、解説はセミナー内ではなく別途個別指導をご受講いただくようご案内することがあります。
※ロマ数トレランにはビデオ視聴以外に欠席保証はございません。ビデオは出席の有無に関わらずご視聴いただけます。

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∞企画運営∞

和から株式会社
渋谷(本社)・新橋・大阪にて社会人向けの数学個別指導教室「大人のための数学教室 和(なごみ)」や「大人のための統計教室和」を運営。数学が苦手な大人から 数学の業務・研究応用を 目的としているマーケター、経営者、大学教授まで様々なニーズを持つ社会人に対して必要な数学や統計学の授業を日々提供している。企業におけるデータセンス研修やデータ分析研修も実施。
和から株式会社HPはこちら>>

∞お問い合わせ∞
和から株式会社  松中宏樹
MAIL:class@wakara.co.jp

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