ロマンティック数学ナイト

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【ロマ数トレラン】高木貞治『解析概論』を味わう〜複素解析の視点より〜

13時開演

【ロマ数トレラン】高木貞治『解析概論』を味わう〜複素解析の視点より〜

オンライン(zoom)

12:45

13:00

65,500円
※早期割引あり

Coming Soon

∞セミナー概要∞

高木貞治先生の著作『解析概論』の初版が刊行されたのは昭和13年(1938年)のことですから,それから今日まで86年という歳月が流れています.この86年の間にはさまざまな人の手でおびただしい数の微積分のテキストが刊行されましたが,『解析概論』はそれらすべての模範になりました.古いテキストですが味わいが深く,魅力があり,いたるところで謎めいた言葉に出会い,強くこころを惹かれ,微積分とは何かという問いをめぐって深い思索の世界に誘われます.それらの言葉をなるべく多く採集して考察し,微積分の真の姿にせまりたいと思います.

『解析概論』の最大の特色は,実変数の関数の微積分を語りながら,その背景に広がる複素変数関数の微積分の世界が絶えず意識されているところに現れています.その様子は,たとえば次に挙げる高木先生の言葉にはっきりと示されています.

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変数を実数に限ってもarcsin, arccos, arctanの多意性がlogの多意性の下にと統一される.

実変数に関する三角函数,双曲線函数は複素変数に関する指数函数の一断面にほかならないから,それらの逆函数がすべて対数函数に包括されるのである.この認識は大切である.

上記の関係(註.逆三角関数arcsin, arccos, arctanと複素対数を結ぶ関係式)は形式上はすでに十八世紀(Euler)において知られていたのであるが,その根本的の意味は十九世紀以後,複素変数が徹底的に考察された後に初めて明らかになって,そこから驚嘆すべき単純化が可能になったのである.初等函数といえども,複素変数にまで次元の拡張をしなくては完全に統制されないのである.(212頁)
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この高木先生の言葉をつねに念頭に置いて,『解析概論』そのものを複素解析の視点から読んでみたいと思います.

微積分の本質に向けて理解を深めるうえで問題演習には大きな効果がありますが,流布している解答を見るといろいろな技巧が組合されていて,なかにはとても思いつきそうにないものも多いです.こうすれば解けるということはわかっても,どうしてそうすれば解けるのかという根本のところまではなかなかわかりませんが,根本の理由を踏まえて解くのが理想です.高木先生の『解析概論』にはそのあたりの諸事情がわりと明快に示唆されていますので,参考になります.特に,実変数の微積分の問題を複素解析の視点から眺めると,問題の本質が明瞭に理解されることがしばしばあります.また,実変数の微積分の問題の中には,複素解析の視点に立つことによってはじめて真相が理解できるものもたくさんあります.この観点は特に積分計算の場合に顕著です.

微積分演習のもうひとつの課題はdxやdyの使用法です.これらのdx, dyはそれぞれ変数x, yの微分と呼ばれる無限小の変数ですが,これらを自由に駆使するところに微積分の計算の真髄が宿っています.この傾向は特に微分法の問題の場合に顕著です.

共立出版から出ている『詳解 微積分演習 I, II』には実に多くの演習問題が集められていて,詳しい解答がついています.それらはいわば標準的な解答です.これに対し,あるいは複素解析の視点に立ち,またあるいは無限小の世界に沈潜して問題の解答を試みてみたいです.両者それぞれの解答の比較を通じて微積分の本質に寄せて理解を深めたいと思います.

∞セミナーの目的∞

高木先生の名著に手掛かりを求めて微積分を学び直し,微積分とは何かという問いを考えます.

∞セミナーの進め方∞

毎回ノートを準備して,それに沿って講義を進めるとともに,なるべく多くの問題を解いていきます.途中で自由な話し合いができるようにしたいと望んでいます.具体的な計算が重要ですので,課題を出して解いてもらう時間を作ります.

∞セミナーの内容∞

関数の定義をめぐって
1価関数と多価関数
関数の微分と変数の微分
不定積分と原始関数
不定積分と定積分
広義積分の収束と発散
広義積分の数値の算出のいろいろ
広義積分の発散の原因とは
円の面積の算出再考
発散級数の和とは
オイラーの公式とドモアブルの公式
実三角関数と虚対数
複素解析の視点からの実積分の計算
無限冪級数の収束円上の挙動の観察
複素数の世界の玲瓏なる境地
陰関数の微分(ケプラーの方程式)
曲線の概形を描く(デカルトの葉)

※受講者の理解度により、上記内容は変更となることがあります。
※進行具合により、上記内容が前後することがあります

∞参考テキスト∞

高木貞治『定本 解析概論』(2010年,岩波書店)
詳解 微積分演習 I』、『詳解 微積分演習 Ⅱ』(共立出版)
高瀬正仁『複素解析的視点からの微積分演習』(近刊.2024年3月,刊行予定)

※セミナーで適宜参照しますが、講師が解説しますので購入必須ではありません。

∞前提知識∞

特別の前提となる知識はありません.有理関数,指数関数,対数関数,三角関数など,初等関数の微積分について,複素変数関数論の視点に立って第一歩から解説します.

∞受講対象∞

これから学ぼうとする人、学びつつある人、学び直そうと考えている人など、解析概論、微積分に関心のあるすべての人びと。

∞セミナー講師∞

高瀬 正仁(たかせ まさひと)

1951年、群馬県の山村、勢多郡東村(現在、みどり市)に生れる。東京大学卒業後、九州大学大学院に進む。大学院は理学研究科数学専攻。前期修士課程修了。後期博士課程中退。九州大学理学部数学科助手、講師、准教授を経て、基幹教育院教授。2016年、定年退職。
専攻は多変数関数論と近代数学史。オイラー、ガウス、アーベル、リーマンなど、数学の古典の翻訳を続けるとともに、岡潔と高木貞治の評伝を執筆した。

∞開催場所∞

オンライン(zoom)
※好きな場所でご受講できます。「zoom」を用いてオンラインでセミナーを行います。
※ブラウザが利用できるPCやタブレットなどの環境をご用意ください。
※iPad等タブレットの使用は一部機能が制限される場合がございます。パソコン端末でのご参加を推奨いたします。

∞開催日時∞

第00回 2024年03月9日(土) 14:00~15:30(ガイダンス回・無料)

第01回 2024年03月23日(土) 14:00~16:30
第02回 2024年04月6日(土) 14:00~16:30
第03回 2024年04月20日(土) 14:00~16:30
第04回 2024年05月4日(土) 14:00~16:30
第05回 2024年05月18日(土) 14:00~16:30
第06回 2024年06月01日(土) 14:00~16:30
第07回 2024年06月15日(土) 14:00~16:30
第08回 2024年06月29日(土) 14:00~16:30
第09回 2024年07月13日(土) 14:00~16:30
第10回 2024年07月27日(土) 14:00~16:30

※3月9日の第0回は9月23日開講の本編のガイダンス回となります。
※第0回に参加しなくても第1回目以降は申し込むことは可能です。
※セミナー時間150分の内、30分は受講生からの質問、議論に充てられるように設計しています。
※各セミナーの録画をゼミ最終回の1年後まで視聴できるようにしますので、欠席の回があっても問題ありません。

∞料金とお申し込みに関して∞

・ガイダンス回(3月9日)  無料
・本セミナー(全10回)  65,500円(早期割引:62,500円)

◆ガイダンス回(無料)について

※出席・欠席に関わらず、お申込みいただいた方全員にガイダンス回当日の動画をお送り致します。後から動画で視聴されたい方も本ページよりお申込みください。
※ただし早期割引が適用されるのはガイダンス回の翌日までとなりますので、当日ご出席いただくことをお勧めいたします。予めご了承ください。

◆本編(有料)について
※セミナーの性格上、本編の定員は8名とさせていただきます。
※最小履行人数は4名となります。最小履行人数に満たない場合、非開催となり、料金は返金させていただきます。開催有無は第一回ゼミの7日前に確定となります。
※ガイダンス回翌日18:00時点での申込数が定員を超えている場合は、抽選にて参加者を決定させていただきます。予めご了承ください。
※本編お申し込みの方にはご入金方法をメールでご連絡いたします。

∞本編受講希望者の方向けの注意事項∞

・通信トラブル等が発生した時に、講師、受講生で円滑に連絡を取り合えるようLINEグループを作成します。LINEグループへの参加は必須とさせていただきますので、予めご了承ください。
・オンラインセミナー受講の際に必要となるパソコン、タブレットまたはスマホ等の通信機器、およびWiFi等のインターネット接続サービスは受講生ご自身でご準備いただきます。
・Apple Pencilなどのスタイラスペンやペンタブなど、画面にペンによる書き込み、描画を行える環境をご準備いただくことを推奨いたします。
・各セミナーの録画動画を最終回の1年後まで視聴できるようにしますので、出席できない回は動画での受講が可能です。
・欠席者には録画動画だけでなく、セミナーで使用する配布資料(pdfファイルやurl等)も出席者同様配布いたします。

∞ロマ数トレランとは∞

「時間はかかってもいいから数学の美しさを中身からしっかり理解したい!」
聞いているだけでわくわくする華やかなテーマが満載のロマンティック数学ゼミ。
その根底となる理論からしっかり学びたい。ロマ数トレランはそんな声から生まれました。

ロマ数トレランは、ロマン溢れる数学を語ることができる講師による、講義形式ではなく、双方向の対話に重きをおいた受講者参加型の少人数制ゼミです。
実際に手を動かしたり、しっかりと質問、議論をする時間を設けることで
内容を確実に理解することを目標とします。同じ気持ちをもった仲間と一緒に学んだ先には新しい数学の世界が待っています。

~トレランとは~

山を縦走する山岳レースを意味するトレイルランニングの略です。
急坂は大変な時はありますが、いったん頂上に上がれば壮大な風景を楽しむことができます。
数学も同じです!平坦な道も、下り坂も、そして時にはハードな時もありますが、頑張って登りきれば素晴らしい風景が広がっているのです!

※ロマ数トレランでは受講生の理解に合わせて講師が適切な速度になるよう誘導しますが、受講者の理解を優先するため、カリキュラムの進度は確約いたしかねますので、予めご了承ください。
※質問の内容がセミナーの趣旨とそれる場合や、セミナーの適切な進行の妨げになると講師が判断した場合には、解説はセミナー内ではなく別途個別指導をご受講いただくようご案内することがあります。
※ロマ数トレランにはビデオ視聴以外に欠席保証はございません。ビデオは出席の有無に関わらずご視聴いただけます。

∞企画運営∞

和から株式会社
渋谷(本社)・新橋・大阪にて社会人向けの数学個別指導教室「大人のための数学教室 和(なごみ)」や「大人のための統計教室和」を運営。数学が苦手な大人から 数学の業務・研究応用を目的としているマーケター、経営者、大学教授のお客様向けに数学や統計学の授業を日々提供している。企業におけるデータセンス研修やデータ分析研修も実施。
和から株式会社HPはこちら(https://wakara.co.jp/)

∞お問い合わせ∞
和から株式会社
MAIL:class@wakara.co.jp

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